「おいしーっ!」

机の上に並んだたくさんの料理を少しずつ口に運びながら、私はいちいち歓声を上げた。
料理自体は質素だけど独り暮らしの私にとっては、大勢で机を囲んで食べる、それだけで豪華に思えた。

「嬉しいねぇ、こんなに喜んでくれると。」

幸せそうに顔をほころばせておばあちゃんが言う。

「本当に、美味しいです。これ全部、おばあちゃんが作ったんですか?」

「そうだよ。それに、この野菜も米も家でとれたものなんだよ。」

「この料理が食べられただけで、ここに来た甲斐がありました。」

「本当かい?どんどんお食べ。」

ニコッと笑って私はまた料理を口に運ぶ。
おばあちゃんの照れたような笑顔を見るだけで、私は幸せになった。

「ほら、やっぱり女の子はいいわ、表情豊かで。晶なんか、最近はいつもムスッとしたまんまで、全然可愛げがないんだから。」

悪かったな、と晶が呟く。ムスッとして。
ねぇ、とおばさんに同意を求められたけど、私はどんな表情すればいいのかわからない。

「そんなこと、ないと思いますけど……ね。」

「そんなことあるのよ、ねぇ、ばあば。」

「そうだねぇ。」