「ちょっと待った!」

よしよし、きたっ!
私は驚いた風を装ってくるっと振り返った。ここで笑顔なんか見せちゃダメだ。

「君、7回講義を欠席しているから、夏休みに1週間補講を受ければ単位をあげよう。」

「本当ですかっ!受けます、補講、受けますっ!」

やったね。補講を受けるだけで単位をもらえるなら、こんな楽なことはない。

しかし、次の瞬間、先生の言葉に私は耳を疑った。

「補講って言っても、講義じゃないから。実習に行ってもらうよ?」

「……えっ!」

ちょっと、意味がわからないんですけど。実習?何で?

「うん、農村実習。僕の知り合いにちょうど人手不足で困ってる人がいてねぇ。そこの手伝いを1週間したら、単位を出してあげるよ。」

先生は不敵な笑みを浮かべていた。
この人、私が断れないことわかって言ってる。先生の方が1枚上手だったか……!