ぶつぶつと文句を言い続ける晶を無視して、私は一番電波の入りがよかった窓際を陣取る。
これで心おきなくメールができる。

「美優さぁ、何でここに来たの?」

「ん?だから、実習だって。」

「いや、そうじゃなくて。何でオレの部屋、来たの?」

「あぁ、そっち?電波の入り、良さそうだったから。私の部屋、圏外だし。」

「ふーん、そう。」

私はケータイを閉じて、晶の方に向き直った。晶は寝ころんでマンガを読んでいた。

「面白い?」

「これ?面白いよ。」

「いや、マンガじゃなくて、ここの生活。」

「うーん、微妙。」

晶の意外な答えに私は少し驚いた。

「好きじゃないの、ここ?」

「いや、別に。嫌いじゃないけど……。都会にも行ってみたい……かな。」

その意見も、もっともだと思った。この近くじゃ、遊ぶところもないだろうし。

「美優、――」

晶が私に話しかけようとしたとき、外からおばさんの声がした。

「晶ーっ、開けるわよ!あら、美優ちゃんもここにいたの?」

不思議そうに私を見つめるおばさん。

「ご飯よ。いらっしゃい。」