チリン



ミユは無意識に翔んだ



降りだした雨がサラサラの髪を伝い地面へと落ちる


震えていた手足は収まりだす代わりに涙が止めどなく溢れる


シアンが、天使が人間に自分の羽根を与える事、それはつまり自らの命を与える事に等しい


羽根がなければ17歳の初雪が降る時にその命は消える



それ故に禁忌とされていた




ミユの様に三枚羽根を持つ者にとっては人間の命を与えるのは天使が雨や雪を降らす程度の事だった


しかし、それがミユには出来なかった




ミユは微かに震える手を天に伸ばす



『お父様…お母様…シアンにではなく…私に罰を与えてください…。』




『お願い…私を…殺して…。』