リモコンをもてあそびながら、天鳥はテレビに向かい。
森さんは、すたすたと和室へ足を向ける。

ああ…!
人の家で勝手に…!!

パニックは最高潮だった。

すると、私の目の前に再び顔をよせてきた男がいた。

「沙杏ちゃん。すごく不謹慎だし、邪魔もいるけど……一軒家で何より」

そういって、おでこに口唇を押し当てられた。

「……ひっ……!!」

「…その反応、直してね。よろしく、オレの花嫁。……それから、ご両親にはお悔やみを」

「…………」

途端に、テレビに夢中だった天鳥が抗議の声を上げた。

「ちょっとナギ! 開始早々、抜け駆けしないでよ! ようやくその子の誕生日が来て、スタートラインに立ったんだからさ!」

私はといえば、キスされたおでこを抑えたまま、呆然とした。