海に花、空に指先、地に霞


今までだって何度も不意打ちされたキス。

でも、いつもと……何だか違う気がして。

熱と氷を、同時に感じた。

呼吸と呼吸の、僅かな隙間。
何度も…音を立てて、重ねられる、口唇。

…天鳥が、いつになく静かに言葉を紡ぐ。

「……目、閉じたら?」

「…ちょ、……ん!……ふ、………くる…し!」

ちゅ、と。
舌を絡められて。
歯列をなぞられて。
…息絶え絶えになる。

キツク閉じた目の奥が……白く。

「ふ、…あ、とり……っ!」

滑らかな舌が、さらに深く。
私を捉えようと。

「…………ん、んっ…!」

服の中に、ひんやりとした手が侵入してきた。
ビクリと背中がのけ反った。

羞恥と…初めての感覚にひどく戸惑う。

「や!!あ、あとり…!! …じょ、冗談…キツ…!」

「…冗談?…どっちが?」

私の頭の上で、天鳥がツイ、と顎を反らして…笑った。