海に花、空に指先、地に霞



これ以上、この話はできない。
まだ誰も選べないどころか、…本当に選ぶのかどうかも分からない私は。

花嫁としての覚悟を持てない私は。

拙い逃げ方をすると、あっという間に追及される。
そうゆう隙を見逃さない人だ。

でも意外にも…天鳥は静かに言葉を紡ぐ。

「……ナギがあんたを自分のモノみたいに扱うからさ」

「は、はい?」

逸らしたはずの会話。
でも、虚をつくような答えが返ってきた。

そんな内容が返ってくると思わなくて、私は素っ頓狂な声を出す。

「…あんたの気持ちを無視した、とかいろいろ。…そりゃね、僕もあんたに言われりゃその通りだと思うけどさ」

「な、何、何?どうゆうこと?」

「……あんたはナギのモノじゃない。…でしょ?」

「わ、私は誰のモノでもありません!!」

「じゃ、僕のモノになってよ」

「はあ?!あ、天鳥? さっきから何言って…」

「……変だな。…こんな気持ちになるとは思わなかった…。あんたなんか相手にして」

「天鳥ってば!……ッ?!」

くるり、とあっさり体を入れ替えられて。

…天鳥が私に覆いかぶさった。

途端に噛み付くような。
乱暴に強引に、口唇を押し付けられた。

「ん…ッ?!」

熱っぽく、口内を…蹂躙される。

私はもがく。