「…僕はさ、花嫁なんて、最初どうでもよかったんだ。一応義務だし、ごちゃごちゃ言われるよりはマシかな、て思ってたくらい。…今でもどっちでもいい」
「え…………?」
「でも…あんたは別かもね」
「……は?」
「ね。いい加減、選んだら?」
ドキ、と心臓が跳ねる。
瞬時に、嫌な汗をかいた。
予想外の展開に私は焦る。
多分、私の下敷きになっている天鳥は、私の鼓動にも焦りにも気がついたはず。
でも、お構いなしに話を続ける。
「何で選ばないの」
慌てて重なっている体をずらそうとするけれど、思わぬ強い力に拒まれる。
………だから。
「…そ、そ、それで?!な、なんで凪世と喧嘩してたの?!」
無理矢理、話題を転換させた。
忘れかけていた…本筋に。
今更どうでもいいような気もしたけれど。

