「だってそんなの、僕たちが王だって知ってるあんただから言えるんじゃん。根本的な解決になってないって思わない?」
「い、いいでしょ!それに私みたいに思ってる人、世界中にいっぱいいっぱい、いるよ!…たくさんの人が、そう願ってるって。希薄なんかじゃないよ!」
「…面倒臭い女だね、あんた」
「いるって!人は希望とか、ちゃんと持つものなの!…それがどんなに幻みたいな話でも!」
「…極楽頭」
「……ねぇ、さっきから本当にひどくない?」
精一杯、私が天鳥に話しかけているのに。
…天鳥は吹き出した。
カラカラ、笑う。
笑い声が、夜風に吸い上げられていく。
「…ヘンな女」
「な、何でよ!?…もう!珍しく、真面目に……わ!」
突然、重なっていた手をクンッて引っ張られて。
次の瞬間には、抱きしめられていた。
それも、私が天鳥の上に、折り重なるような形で。
引き込まれた瞬間に、天鳥の胸に打ち付けた鼻が、痛かった。
「いった…、あ、天鳥ッ…!」
「…でも、ま。…ありがと」
「え……、…うん」
「すごい下手な慰めだったけど」
「……天鳥!」

