海に花、空に指先、地に霞


「…力は……王様の、力が…」

「不幸にも、それが決め手だったってワケ」

「え…?」

「…強かったよ。僕の力は、誰よりね。それで…まあ王になったけどさ。やっかみもあって、散々蔑まれた」

「さ、蔑む…?」

「金の髪とか、容姿がさ、母親そっくりでさ。売女の子だとか、淫売の色だとか。そんなのが王位に即くのか、玉座が汚れる、とか…。いろいろ」

…後々聞いてみたら、娼婦だとばかり思ってた母親は、過去に抱えてた占者の血筋だったそうだ。

「何でもいいけどね。どうせ僕は即席王だし。力があろうがなかろうが」

吐き捨てるような。
切り捨てるような。


明るくて、小煩くて。
ちょっとわがままで。
口も悪いし、すぐ人のことからかって楽しんで。
たかがDVDのことで、取っ組み合いの喧嘩したり。


だから。


ちゃんと天鳥を見たのは、初めてのような気がした。