海に花、空に指先、地に霞



王家は規律を正せない。
空は揺れる。
人さえ…強く…巡らなくなる。

「僕だって、……会いたいなんて思わないしね」

「……え?」

いきなり。
天鳥が…己の過去を蘇らせた。

「…父親は私欲に固執した腐り切った先代王。母親はその権力と財力に色香で取り入った娼婦。…見事な金髪のね」

「………あ」

以前…凪世が少しだけ言っていた。
天鳥の出自には…問題があるって。
それは……。

「…先代王には、山ほど子供がいて。自分でだって何番目の子か分かんないくらいだよ。で、その子供たちが、本当に親そっくりというか、権力至上主義というか…」

派閥やらなんやらで、めちゃくちゃな王位争いやってさ。

…僕は即きたくもない玉座に担ぎ出された。

ため息のように、過去を吐露する。

…夜より、冷たい、声…。
私まで冷やされていく。