「確かに本来なら、このまま我々が負けていただろうね。そちらが15人、こちらが30人でも慣れていないシーフを相手にとなると、そう簡単にはいかない」

 ベリルはその後を付け加える。

「シーフ相手に、我々だけで来ると思うかね?」

「……?」

 そう言ったベリルの顔に、アンデルセンは眉をひそめる。

「! そうかっリリパットを!?」
「もう遅い。制圧完了だ」

 ニヤけた顔をしたベリルに、アンデルセンは小さく舌打ちをした。

「貴様は……一体、何だ。一体、何なんだ」
「さあね」

 とぼけた表情のベリルを見据えて、アンデルセンは銃を構える。

 負けは確実なのに、アンデルセンの顔には諦めた表情が無い。

 確かに、ロッシュたちを人質にすれば彼だけでも逃げられるだろう。

 だがそれは……ベリルを倒せれば。の話だ。