決行1時間30分前、いよいよアタック・ポイントへ移動。

 車で100m付近まで近づき、その後は徒歩。30m先で待機する。

 緊張するダグラスとライカに、ベリルは「落ち着け」と、軽く肩を叩いた。

 冷静な顔をしているベリルを、ライカはじっと見つめた。

「……」

 そうだ、オヤジもいつも冷静だった。

『冷静にならなければ窮地に直面した時、正しい判断が出来ない』

 セシエルは、ライカにずっとそう語っていた。

 傭兵でありハンターであった、クリア・セシエル。

 今、その忘れ形見であるダグラスとライカはベリルの元にいる。

 まるで、セシエルの霊魂が導いたかのように……

 たった2度の出会いが、セシエルとベリルの間に深い絆を生んだのかもしれない。

 そして、その絆は次に受け継がれていく。