朝、起きて顔を洗うベリル。ピックアップトラックの荷台には、必要最低限の水と食料を積んできていた。

 もっとも、ベリルには食料は必要ないのだが。

「おはよ~」

 眠い目をこすりながらダグラスが車から出てくる。

「ライカは?」
「ん、他の仲間たちと話し合いをしているよ」

 ベリルはそう言って、向かった方向を軽く示した。それにダグラスは怪訝な表情を浮かべる。

「話し合い?」

「奴はパーティ戦は初めてだからな、仲間たちと色々会話する事で意思の疎通が取りやすくなる。相手の呼吸が解るからね」

 彼に、積極的にベリルが会話するように勧めたのだ。

 ベリルの弟子という事で、仲間たちも興味津々で彼に話しかける。

 独り立ちする時、顔を知られていれば今後にも役に立つ。

 今までしてこなかった事を、ライカは全速力で覚えようとしていた。

 ベリルは、ライカがいるであろう方向に視線を向け目を細める。

「私から離れるのも時間の問題だろう」

 ぼそりとつぶやいた。