「トワイト、大丈夫か?」
「ああ、なんとか……」

 ロッシュたちは秘宝の奪還に失敗し、アンデルセンたちに捕まってしまった。

 そのまま拘束し放置して移動するのかと思えば、彼らは一週間経っても移動する気配を見せない。

 何故だ? 何を待ってるんだ。こいつらの行動は予測しづらい。

 そのために捕まってしまったのだが……

「!」

 すると、奥から声が聞こえてきた。語気が荒い、何に怒ってるんだ?

「まだ経路の確保が出来んのか!?」

「すまん、逃走路がすでに遮断されているんだ。あっち側の傭兵たちが監視している」

「! なんだと?」

 髭を蓄えた、体格の良い40代半ばの男が怪訝な表情を浮かべた。

 黒い髪は癖毛で、ブラウンの瞳。威厳のある顔立ちだ。

「……」

 そんなに多くの傭兵を動かせる奴が存在するのか? その男、アンデルセンは腕を組んで思案した。

「! まさか奴か……いや、まさかな」
「どうした?」

 聞き返されて、自分の思考に頭を横に振る。

「なんでもない。とにかく、どうにかしてここから脱出しないと」

 顔を知られている彼らにとって捕虜を殺す理由は無い。

 すでにロッシュたちの存在は、そこら辺のテーブルや椅子と同じだった。