作戦会議を一端中断し、休憩に入る。

「ベリル」

 喉を潤しているベリルのもとにメロールが声をかけた。

「久しぶりね」
「うむ。元気なようだな」

「今回の作戦。どうなの?」

 メロールは率直に訪ねた。ベリルはそれに表情を少し曇らせる。

「わからん。ロッシュは賢明な男だ、相手を刺激していないと思うのだが」

「まさか彼を殺したり……してないわよね」

「殺せばどうなるか解らない奴ではなかろう」

「だといいのだけど……」

メロールが離れた後、ダグラスが怪訝な表情を浮かべて問いかけた。

「今の、どういう意味?」

「ロッシュを殺すという事は、我々傭兵全てを敵に回すという事だ」

「!?」

「戦闘で死ぬなら納得もする。だが、捕虜にした相手を殺すのは外道だ」

 それを我々が許すと思うかね? その目には怒りが見て取れた。

 それだけは決して許さない……ベリルがまれに見せる冷たい瞳が、敵に向けられている。

「……」

 相手は絶対に勝てないな。ダグはそう感じた。

 彼に睨まれて逃げられた相手はいない。