「リアンナ」
「! ベリル。どうしたの?」

 ベリルは、リアンナの家に再び訪れた。

「!」

 しかし、その瞳は厳しかった。

「全てを話せ」
「……なんの事?」

「アンデルセンが絡んでいるなら、ただの誘拐事件ではない。本当にロッシュを助けて欲しいなら、真実を話せ」

 でなければ私は手を引く。ベリルの言葉に、リアンナは蒼白になる。

「父が……救出を頼まれたのは。国宝なの」
「国宝?」

「それは『神の子供』と云われるもので、絶対に口外してはならないと……」

「モノは、ルビーだな」
「ええ、そう」

 ピジョン・ブラッドと呼ばれる宝石がある。

 しかしその宝石の色は神秘的で、とても言い表せないとされ『神の子』と名付けられた。

 ベリルはそれに、頭を抱える。

「何故、そんなものに彼が?」
「強く頼まれて、断れなかったの」

 深い溜息が漏れる。救出対象が人間とアイテムになった。

 作戦を変更しなければ……