「!」

 ホテルに戻ると、ドアの前に男が立っていた。草色のカーゴパンツにアサルトジャケット。

「イズミか」
「暇だったんでね。一足先に来た」

 イズミと呼ばれた男は軽く手を挙げて挨拶する。彼は泉恭一郎(いずみきょういちろう)。180㎝と長身で、赤茶色の髪と瞳の傭兵だ。

「!」

 ふと、ライカに目を留めた。

「誰だ?」
「天使の拾い子だ」

「! セシエルの?」
「オヤジを知ってるのか?」

「知らない奴はいないさ。奴の闘いっぷりと来たら、ベリルに引けを取らない」

 笑顔で視線を向けられ、ベリルは肩をすくめた。部屋に入り荷物をまとめる。

「イズミ、集合ポイントに先に向かってくれ。2人を頼む」

「OK」
「ベリルは?」
「少し、寄るところがある」

 泉は、ライカとダグラスを外にうながし、ベリルに手を挙げて部屋をあとにした。

 ベリルもそれに手を挙げて応える。