自分の未熟さ故に、育ての親であるクリア・セシエルを死なせてしまった。

 彼は、ずっとそう思い続けていた。

『これから先は、お前のせいじゃない』

 彼はそう言って敵の前に飛びだし、若い頃のように闘った。

 55歳であったセシエルは、安全にハンターとしての仕事をしていた己にいつも納得していなかった。

『このまま死を待つよりは……』

 あの時、彼の“タガ”が外れたのだろう。

 あの頃のように──! 彼は嬉々として、銃弾を浴び血を流しながらもその動きを止めなかった。

 そして、死を感じながらもライカを想い……ベリルに全てを託す事で自分を安心させた。

『お前に押しつける事になるが……楽しんでくれるだろ?』

 セシエルは誰にも聞こえないほどの声でつぶやき、ライカの腕の中で息を引き取る。

 ライカは、その傷を自分で克服しなければならない。

 そうでなければ、彼は前には進めないのだ。ベリルは彼のために言葉を押し殺し、ただ黙って見守る事にした。