陸

「アンタが羨ましいよ」
 男が声に出す。
「何がですか?」
 僕は聞く。
「アンタは自分が霊が見えることの意味を知っている」
 男は答える。
「それに、霊が残る理由も知っている」
 その男は悲しそうな笑顔を僕に向ける。