その後、一緒にドアへと向かう。
 駅構内には誰もいない。
 僕と女の子の二人だけ。
 僕はドアの一歩手前で止まる。
 女の子はドアから一歩出て振り返り、僕の方に身体を向ける。
「それじゃあ、お兄さんは旅を頑張ってね!」
「うん。君もね」
「たまにはお父さんとお母さんの所に帰ってよ!」
「そうだね」
「体に気を付けてね!」
「そうするよ」
 ドアが閉まり始める。
「じゃあね!!」
「さようなら」
 閉まったドアの向こうで、笑顔の女の子が大きく右手を振る。
 僕は笑顔でそれに答える。
「どうしたんだい?誰かいたのかい?」
 温かな柔らかい風が僕の身体を通り抜けて行く。