「やっぱ先生も気付いてたんだ。」

「当たり前。」

櫻木先生と飛鳥の会話は、余計私に迷いを与える。

こんな気持ちで嘉壱君に会って、普通でいられるのかな。

でも、嘉壱君に会ったらこんな気持ち消えるかもしれない。

僅かな望みを込めて……。

「私、参加します。」

―――――――――――――

「君達は此処で見学してね。
飛鳥君は分かってると思うけど、撮影中は静かにね。」

「はい。」

キョロキョロと、辺りを見渡す。

だけどどこにも嘉壱君はいない。

がっかりなはずなのに、心のどこかでホッとしている私もいる。

私、汚いよ。

嘉壱君を中心に回ってたときの方が何倍も楽しくて、楽で、純粋だったよ。