私がこの時任家にお世話になるようになって、早十一年。

凶作で困窮し次々に兄弟が亡くなり、八つで奉公に出ることになった私を引き取ってくれたのが旦那様だった。

何も知らない私に仕事を与えて下さった旦那様のために、時任家に一生懸命に尽くそうと決めた。