雷鳴の夜

「くそっ」

ヴィクターもまた、苛立ちを隠しきれなかった。

「何で止めた!?」

私に突っかかってくるものの、責められる謂れはない。

「あんな怪物に殴りかかるなんて、ヴィクターの方がどうかしてます。人間に勝てる訳ないじゃないですか、あんな怪物」

「……」

私の言葉に、ヴィクターは押し黙った。

…とにかく、口論している暇はない。

あんな怪物がこの場にいるとわかったのだ。

もうのんびりしている時間などない。

一刻も早くこの地下病棟を抜け出さなければ。