雷鳴の夜

暴れまわり、荒らしまわり、部屋の中をメチャクチャにして。

それでも結局、大男は隠れている私達を見つける事はできなかった。

膂力は優れるものの、知能は低いらしい。

見つからない事に憤りを感じているらしく、室内で雄叫びを上げた後、大男は部屋を出て行った。

「……」

足音が完全に遠ざかったのを確認して、私は大きく溜息をついた。

…助かった。

まず感じたのは安堵だった。

正直、死ぬかと思った。

あんな怪物に捕まったら、確実に殺されてしまう。

身を潜め、息を殺し、やり過ごすのがやっとだった。

今も恐怖に体が震える。

まだ悪い夢を見ているようだった。