雷鳴の夜

全身を小刻みに震わせながら、私は男の顔を見つめる。

その視線を見て、私が答える気になった事を理解したらしい。

ゆっくりと。

男は私の顎から手を放した。

「……」

震えが止まらない。

カチカチと奥歯がぶつかり合う。

何でこんな質問をされるのかわからない。

けど答えなければ何をされるかわからない。

ショート寸前の脳をフル回転させて。

「罪なき者っていうのは…」

必死に言葉を紡ぎだす。

「おう」

頷き、言葉の先を促す男。

「罪なき者っていうのは…責められる謂れのない人だと思います…不器用でも、一生懸命生きて…他人に迷惑をかけないように努力している人だと思います…っ」