雷鳴の夜

な…何…?

ガクガク膝を震わせ、瞳にいっぱいの涙を溢れさせながら、私はパニック寸前の頭を働かせる。

だけど理解できる筈もない。

この人何言ってるの?この人何言ってるの!?ていうかこの人誰!?何でこんなとこいるの!?手術着着てるからうちの病院の患者?でもこんな患者見た事ない、ていうか患者がこんなとこいる筈ない、もしかしてあの血痕ってこの人の仕業?という事はこの人殺人犯!?嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ死にたくない死にたくない死ぬのは嫌死ぬのは嫌死ぬのは嫌死ぬのは嫌…!

恐怖と混乱で一気に感情が頭の中に溢れ出す。

そんな私に容赦せず。

「おい」

男は私の口を塞ぐようにして、片手で私の顎を掴んだ。

「俺は質問してるんだぜ?」

思い切り邪悪な笑みを浮かべて。

男は先程と同様の質問を繰り返す。

「罪なき者って、どんな奴だろうな…?」