雷鳴の夜

下水道の天井付近にまで達する水量。

まともに呼吸すらできないまま、私は濁流の中で翻弄された。

水面に浮上する事すらできない。

既に私の体力は限界だった。

この激しい流れの中で泳ぐ事など到底出来ない。

…ここまでかな。

薄れ行く意識の中で、私はそんな事を考える。

せめて死ぬ前に、お父さんとお母さんの顔、もう一度見たかったな…。

諦めの境地に達しかけた、その時。

「!」

誰かの手が、私を掴んだ。

そして流れに飲み込まれないよう、必死で水を掻く。

ぼんやりとした意識で、私はよく覚えていないのだけれど…。





それは、必死の表情のヴィクターだったように思う…。