雷鳴の夜

横たわった10型の巨体。

ヴィクターはそんな10型の上に馬乗りになる。

「!」

とどめを刺す気?

「ヴィクター!もう彼は戦意を喪失しているわ!殺す必要なんて…」

人造人間とはいえ、れっきとした生命だ。

無闇にその命を奪う事は、医療に携わる者として賛成できない。

だけど。

「最初にあんたに会った時、俺は訊いたよな…『罪なき者ってどんな奴だろうな…?』ってよ」

ヴィクターは言う。

「それに対してあんたは答えた。『罪なき者っていうのは責められる謂れのない者。他人に迷惑をかけないように努力している者』だって…俺も同感だ」

彼の両手が、10型の胸に押し当てられる。

「こいつは、責められる謂れがある。散々暴虐と殺害を繰り返し、無法の限りを尽くしてきた。迷惑っていうなら、これ以上の迷惑はねぇよなぁ」