雷鳴の夜

しかし。

10型の腕力も人間を超越したものならば、ヴィクターの耐久力もまた、人間を超越したものだった。

確かに頭部からは大量の出血があった。

でも頭部がひしゃげたような様子はない。

きっちりと原形を留めたまま、朱に染まった鬼の形相で、ヴィクターは10型を睨んだ。

「この化け物が…!」

硬く硬く握り締められる、ヴィクターの拳。

握り締めすぎて掌の皮が破れ、血が滲む。

その拳を、彼は力任せに叩きつける!

ゴッッッッッッッ!!!!!!

およそ殴り合いでは考えられないような音が地下に響く。

ヴィクターの体には人工骨格が組み込まれていると言っていた。

金属か強化プラスチックか知らないけれど、恐らくはそれが衝突した音なのだろう。