そんな事を考えながらぼんやりしていると、こちらを見上げた向井君と、バッチリ目が合ってしまった。 …………ズキッ… はにかんだ笑顔で小さく手を振っている向井君。 「ほらっ、王子様がこっち見てるじゃん」 それに気づいた裕子が、戸惑うあたしの手をとって無理矢理振り返した。 ニコッ−− 嬉しそうな向井君の笑顔が、胸に突き刺さる。 あたしは、なんて軽い返事をしてしまったのだろう…… 自分が今までイケイケ風を装ってきたのも忘れて、とにかく胸が痛んで仕方なかった。 `