「ね、ね。出てきたよ?向井君」
コートの端を見ながら、楽しそうにあたしの肩を揺らす朋歌。
そうだった。
ここにも胸が痛くなる原因があったんだった。
ジュースを手にグラウンドへと戻ってきたあたし達を、朋歌達はニヤニヤしながら見つめていた。
「じゃあ、お互い、決勝頑張ろうね!」
相変わらず爽やかな笑顔で去って行く向井君が、5メートルも離れてないのに、あたしはハイエナの餌食になって。
洗いざらい喋らされた揚げ句、かなり冷やかされた。
その時点で、すでにあたしの中には後悔の気持ちが沸いていた。
なんで、頷いちゃったんだろ……?
ホントに向井君が20ゴール決めたら、あたしは向井君と付き合うの……?
神木を、諦めきれるの……?
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