「ちょ、ちょっと…!」 一斉にこっちを見るお客さんの視線に気づいた朋歌が、あたしを慌てて座らせた。 向かいの優歌さんは困ったように眉を下げて周りに頭を下げている。 「いきなりなんなのよ? 知り合いでも居た?」 知り合いどころか、神木本人がっ……! 顔を赤くした朋歌が小声で囁くのを聞きながら、あたしはもう一度さっきの場所に視線を走らせた。 でもそこにはもう神木の姿はなくて。 …………あれ? 確かにあそこに居たのに…… あたしはまたキョロキョロと視線をさまよわせた。 `