必死にじたばたもがいてみても、細身のくせに男の力は意外に強くて、なかなか引きはがせない。 「………クウッ…!」 それどころか、ますますあたしの体は宙に浮くばかりで。 もう、ダメっ…! あたし、このままこの男に…… あたしの目に、後悔の涙がじわりと浮かんできた時、 「おいっ!」 突然後ろから声がして、男の動きが急に止まったから、恐る恐るあたしも声のした方を振り向いた。 「乙葉を何処に連れて行く気だよ?」 `