「もう、帰んの……?」 続けて聞こえてきた言葉は、意外にも寂しそうな声で。 ………トクン あたしの手が、ドアノブからするりと落ちる。 「……えっと………」 コクるなんてムリなので帰ります、なんて言えるわけないし。 上手い言葉が見つからなくて、あたしがそのまま黙って立っていると、 「まだ帰るなよ……」 と、甘えるように後ろから抱き着いてくる。 ドクンッ−− こんなの……反則だ…よ… あたしは、なぜだか肩に回された手を振り払えないでいた。 `