「楽しんでますか??」

赤髪の男が声をかけてきた。


・・・どっかで見たことあるような・・・


あ!!
グロリアの彼方じゃん。
ギターの。


で、あの噂の。

「ええ。楽しんでます」

あんま関わらないようにしよう。
問題起こしてゼフィロスに迷惑かかっても困るし。
他愛もない話して適当に逃げとこ~っと。

「君、名前は? 俺見て驚かないって言うとグロリアのファンじゃないでしょ?」

優しい言い方なのに 拒否も逃げる事も出来ないような威圧感。

「・・・さやか。友達に連れて来て貰ったからファンっていうわけではないです」

見つめられたまま、素直に答えてしまう。

「友達って 凛だろ?」

バレてるよぉぉぉぉ!!
凛に迷惑かけたくないのにぃぃぃ!

「はい・・・。すみません。関係ない人間が入ってて」

どうしていいか判らなくてテンパってしまう。

「いいんじゃない? 中身はどうあれ、来てくれた子みんなが楽しんでくれれば」

この人、さらっとかっこいい事言いましたけどぉぉぉ!

「アハハ・・・。 そうですよね。 取りあえず 楽しんでくるので」

逃げてしまえ! 逃げてしまえ!!
一緒に居ると 頭おかしくなる感じする・・・。
一気に心も体も捕まれるような感覚が起こる。
絶対 ヤバいよ。
後ずさりしながら 彼から離れて凛に電話しようとすると。。。
携帯を出した瞬間に手から携帯が無くなる。
居なくなった携帯を探すと・・・
彼方が自分の携帯に赤外線してるし。

「これでよしっ」

彼方が私の番号とメアドを赤外線し終わると私の手に携帯を戻した。
そして、

「そろそろ、ライブの準備しなきゃいけないから行くけど。
 メールするから返事返してね。
 ・・・返事返さなかったら これから先平和な毎日が過ごせなくなるし、凛の事も色々するから」

ブラックな言葉が耳に入ってくる。
聞き間違いかと思って 振り向くと爽やかに笑ってる彼方がいた。