ギブス

すぐに、電話で話している諒から、背を向ける…


『………』
【…誰だろ…っ


‐ニノミヤ カナ‐って…っ


今の声…、男の子だったよね…っ


でも…名前が…っ】



しばらくして…

携帯を切った諒は、自分に背を向けている柚葉の頭を軽く小突いた…


『……っ』


慌てて、振り返った柚葉の瞳に…

諒の冷ややかな瞳が映る…


『…っあ…、ごめんなさい…
携帯、鳴ってたから…』


そぅ、今にも…泣き出しそぅな表情をした柚葉に、


「…悪い子だね…」


『…っあ…』
【…怒られちゃぅ…

どうしょう…


嫌われたくなぃ…っ


どぅしたら…】


そぅ…泣き出しそぅな表情を見せた柚葉に、ため息をついた諒…

柚葉の、泣き出しそぅな…その表情に、笑いをこらえているのがやっと…


その、次の瞬間…

諒の胸にしがみついた柚葉…


『…ごめんなさいっ
見るつもりなくて…
でも…、携帯が鳴ってて…
ホントに…ごめんなさい…っ』


…と、しがみついた諒のカオを見上げ、訴えた柚葉…

その頬に…、一筋の涙が伝い落ちた…


「……っ」


その、諒の瞳に、一瞬…動揺の色が伺えた…


諒は、柚葉の両肩を自分から引き離すと…


「…怒ってなぃ…」


『…っえ…』


「こんなコトで、怒るワケがなぃだろ…
緊急の用件だったら…出ずにいる方が悪い…」


その、諒の言葉に…ホッと胸を撫で下ろした柚葉…


「…弟だから…、今の…」


…と、そぅ言った諒の言葉に、諒に視線を向けた柚葉…


『弟さん…
いるんですか…』
【…でも、さっき…

携帯の…名前が違っていた…】


その、柚葉の考えが分かったのか…


「うん、名字…違うけどね…」


そぅ、先程と変わらない微笑みを浮かべた諒…