ギブス

白い…諒の折り畳みの携帯を開いた…


その、液晶画面に表示されてあった名前…

‐二宮 奏‐…と、表示されてあった…


『…どぅしょ…っ』
【ホントは…、

…ダメだょね…っ


分かってるけど…

もし…、…緊急の用事だったら…っ】


…と、柚葉は、何回か深呼吸を繰り返し、

意を決して…その携帯の通話ボタンを押した…


《…諒…っ》


その、携帯から聞こえてきた少年の声…耳元まで、携帯を運び…


『…っあ…、…あの…』


恐る恐る…、声に出した…


《…アンタ…、誰…っ
諒は…いなぃの…っ》


そぅ…、矢継ぎ早に、言っている携帯の奥の人物の声に…

柚葉は、動揺しながら…


『…あ、あの…いま、電話、出れなくて…っ』


その、次の瞬間…

柚葉の手から、抜き取られた携帯…


『…っあ…っ』


柚葉は、その携帯を抜き取った人物を見上げる…


「こらっ人の携帯に出るなって…」


…と、もぅ片方の手で、柚葉の頭を軽く叩きながら言った…


『…先生…、ごめんなさぃ…
あの…』


すぐに、謝ろう…とした柚葉…

諒は、自分の唇の前に、人差し指で静かにするよぅ促す…

慌てて…、両手で自分の口を塞いだ柚葉…