柚葉は、諒から逃れるよぅに…顔を背け…後ずさりをした…

…が、すぐに机の足に踵がぶつかり、体制を崩し掛けた…


『…っひゃ…っ!』


…と、悲鳴に近い声を上げた柚葉の身体を…、諒はそのまま…机の上に押し倒し…


「よく…、話さずにいてくれたな…」


そぅ…、先程とはまるで違う眼差しを向け…、口元だけ笑みを浮かべていた…


『…っ先生…っ』


柚葉の瞳に、涙の粒が浮かんだ…


「その男は…、どんな男だった…っ?」


その、諒の言葉に…


『…綺麗な人だった…
あたし…、あの人のコト…』


そぅ…、柚葉が言った言葉に…

諒の瞳に、微かに動揺の色が伺えた…


「…“綺麗”…っ?」


そぅ…、問いかけた諒の言葉に、柚葉は頷き返した…

柚葉は、諒の瞳を見上げながら…


『…月明かりに…照らされて…
あたし…、あんな綺麗な男の人に逢ったのなんて、初めてだったから…』


その、柚葉が言った言葉に…

諒は、一瞬…切な気な表情をして見せた…


微かに、伏せ目がちに瞼を伏せ、ため息を漏らした…

柚葉の、身体の上に覆い被さろぅとしていた身体を少しずらした…