ギブス

『………』
【…ヤ…だ…

凄く…、恥ずかしい…っ



よく見たら…、顔立ちが…凄く…綺麗なんだ…


先生…って、

やっぱり、あの時の…っ?】



柚葉は、意を決して…諒に視線を上げた…


『あのっ!
櫻井先生…って、あたしと以前、逢ったコト…ありますよね…っ?
6年前…、神社の境内で…』


柚葉が…、そぅ、言った…その次の瞬間…

急に、吹き出し…笑い出した諒…


『…っえ…っ?先生…』


…と、思わず首を傾げた柚葉…


やっと、笑いをこらえた諒が…


「お前…、自惚れ過ぎじゃね…っ?
ソレってさ…、ナンパの口説き文句じゃん…
俺、お前と…会うの、この学校で初めてだけど…」


…と、微かにニャッキながら、そぅ言った…


『…え…っ?でも…』
【…間違い…っ?

そぅなのかな…っ?

あたしの…、勘違い…っ?


そっか…、そぅ…だょね…っ?

あたし、あの時…、小さかったし…

今では…、顔もよく…思い出せないし…


ただ…、声とか…、雰囲気とか…

似ているよぅな…、気がしたから…


あの人かと思った…


あの人だったらいいのに…って、思った…



でも、そんなの…似てる人なんて…

割と…いるかもしれないのに…っ】


『…あ、すぃません…
ただの…勘違いだったのかも…っ』


「…で、その…人が…ナニ…っ?
まさか…、俺に似てるとか…っ?」