再び…、ため息をついた柚葉…


諒と話をする時間を作ってくれるよぅ…頼みに行った紗理奈…

紗理奈から、携帯の方に、連絡を寄越してくれるはずだった…



その、次の瞬間…


背を向けていた…、教室のドアの方で物音がし、振り返ろうとした…


諒と、話し終えた紗理奈だろぅ…と、思った…


『…紗理奈…っ』


…が…、その教室に入って来た人物は…


『…お兄ちゃんっ…』


兄の裕隆だった…


「………」


兄の裕隆は、何の言葉も発しないまま…、柚葉のいる教室に入り…、後ろ手で教室のドアを閉めた…


その、顔つきや表情に…、咄嗟に只ならぬモノを感じた…

柚葉は、すぐ様、もたれ掛かっていた机から離れ…後ずさる…


「…柚葉…、俺のコト…避けてる…っ」


その、冷ややかな声に…、何故か恐怖心を感じた…