「ただいま～。」
　帰ってきても誰もいない。玄関の鍵は開いていたのに…。
「あ、おかえり。ただいまくらい言いなさい。」
　お母さんが奥の和室から出てきた。
「言ったよ。」
「あら、聞こえなかったわ。ごめんね。」
　そう言って２階に上がった。
　かと思ったら、バタバタ大きな音をたてて、お母さんが階段を下りてきた。
　なんだか落ち着かないなぁ。
「どうかした？」
「香典袋探してて。」
「香典？」
「相良君の妹さん、亡くなったんだって。」