トリプレ

　紘貴の叔父さんと叔母さんがやって来て、お父さんの前で頭を下げた。
「本当に申し訳ありませんでした。」
と。
　どうしよう…。お父さん、怒るんじゃないかな？だって怪我してるしさ。
「どうか頭を上げて下さい。」
　意外にもお父さんの口調は柔らかかった。
「娘から話は聞きました。紘貴君の事も…。悪いのは紘貴君ではないでしょう。誰も責める気はありません。娘達は１つの命を救ったんだから。」
　お父さんが自慢に思えた。たまに意味不明な怒りとかあるけど、本心は子供の事を考えているんだと思った。それは我が子だけじゃなくて、紘貴の事も…。
「紘貴君によろしく伝えといて下さい。遊びに来いとも言っといて下さい。」
　なんだかんだ、お父さんが好きだ。