トリプレ

 待合ロビーの奥から見覚えのある2人がきた。お通夜で見かけた、相良君の叔父さんと叔母さんだ。
「本当に申し訳ありませんでした。」
 叔父さんは、お父さんの前で深々と頭を下げた。その横で叔母さんも頭を下げている。
「どうか頭を上げて下さい。」
 お父さんの真剣な眼差しが何故か心強く思えた。
「娘から話は聞きました。紘貴君の事も…。悪いのは紘貴君ではないでしょう。誰も責める気はありません。娘達は1つの命を救ったんだから。」
 叔父さんはまた頭を下げた。叔母さんは泣いていた。
「紘貴君によろしく伝えといて下さい。遊びに来いとも言っといて下さい。」

 私達は病院を後にした。