紘貴君の部屋は2階の突き当たりだった。
始めに叔母さんがノックをして、私達が来た事を告げてくれたけど、返事はなかった。
「あとは大丈夫です。下で待ってて下さい。」
瑞穂?何か考えがあるの?
瑞穂はゆっくりとドアノブを引いた。
中は薄暗かった。カーテンが閉まっていたからだ。瑞穂を先頭に入っていく。私は一番最後に入った。
よく見たら部屋は散らかっていた。暴れた後って感じ。床のあちこちに物が散乱してて足の踏み場はない。
相良君は、部屋の奥のベッドの上に座っていた。
「何しに来た?」
相良君の声はかすれていた。別人みたいだ。
「紘貴の顔を見にきたよ。」
瑞穂が答える。そして少しずつ、奥へと進んでいった。
「来るな。」
瑞穂の動きが止まる。相良君が怖い。こんなの相良君じゃない。
「お前らが来たって何も変わらない。由衣が生き返るわけじゃない。」
相良君が私達を睨んでいる。やつれて、くぼんだ目が更に怖い。
相良君じゃない…。
「ずっと考えてたよ。俺の人生…由衣がいるからあったんだ。由衣がいないのに生きてたって意味ないよね。」
そんな風に言わないで…。
「相良君がいたから由衣ちゃんだってここまで頑張ってこれたんだよ。」
渇いた口からかろうじて声が出た。私の声は震えていた。恐怖と悲しみのせいだと思う。
「俺だって由衣がいたから死なずに生きてきたんだ。でももう由衣はいない…。由衣のいない世界で…生きていたってしょうがない!」
相良君は机の上のハサミに手を伸ばした。
「やめろーっ!」
瑞穂が飛び掛かる。その前に相良君は手首を切った。
血が飛び散る。
相良君は瑞穂に押され、壁に背中を打ち付けた。
そこまでが一瞬だった。
私の体は硬直したまま動かなかった。
すぐに琉璃が動き、相良君からハサミを取り上げた。そのまま右手を押さえていた。
「明日香!紘貴の傷を押さえろ!」
瑞穂に怒鳴られて、私の体はようやく動いた。
相良君の左手首からは血が出ていた。どうしたらいいかわからなかったけど、ただただ手首を押さえていた。
頭の中が真っ白だった。
琉璃が何か叫んでいたけれど、よくわからなかった。
頭痛がした。
叔母さんの姿が見えたけど、何を言ってるのかわからなかった。
頭が痛い…。
始めに叔母さんがノックをして、私達が来た事を告げてくれたけど、返事はなかった。
「あとは大丈夫です。下で待ってて下さい。」
瑞穂?何か考えがあるの?
瑞穂はゆっくりとドアノブを引いた。
中は薄暗かった。カーテンが閉まっていたからだ。瑞穂を先頭に入っていく。私は一番最後に入った。
よく見たら部屋は散らかっていた。暴れた後って感じ。床のあちこちに物が散乱してて足の踏み場はない。
相良君は、部屋の奥のベッドの上に座っていた。
「何しに来た?」
相良君の声はかすれていた。別人みたいだ。
「紘貴の顔を見にきたよ。」
瑞穂が答える。そして少しずつ、奥へと進んでいった。
「来るな。」
瑞穂の動きが止まる。相良君が怖い。こんなの相良君じゃない。
「お前らが来たって何も変わらない。由衣が生き返るわけじゃない。」
相良君が私達を睨んでいる。やつれて、くぼんだ目が更に怖い。
相良君じゃない…。
「ずっと考えてたよ。俺の人生…由衣がいるからあったんだ。由衣がいないのに生きてたって意味ないよね。」
そんな風に言わないで…。
「相良君がいたから由衣ちゃんだってここまで頑張ってこれたんだよ。」
渇いた口からかろうじて声が出た。私の声は震えていた。恐怖と悲しみのせいだと思う。
「俺だって由衣がいたから死なずに生きてきたんだ。でももう由衣はいない…。由衣のいない世界で…生きていたってしょうがない!」
相良君は机の上のハサミに手を伸ばした。
「やめろーっ!」
瑞穂が飛び掛かる。その前に相良君は手首を切った。
血が飛び散る。
相良君は瑞穂に押され、壁に背中を打ち付けた。
そこまでが一瞬だった。
私の体は硬直したまま動かなかった。
すぐに琉璃が動き、相良君からハサミを取り上げた。そのまま右手を押さえていた。
「明日香!紘貴の傷を押さえろ!」
瑞穂に怒鳴られて、私の体はようやく動いた。
相良君の左手首からは血が出ていた。どうしたらいいかわからなかったけど、ただただ手首を押さえていた。
頭の中が真っ白だった。
琉璃が何か叫んでいたけれど、よくわからなかった。
頭痛がした。
叔母さんの姿が見えたけど、何を言ってるのかわからなかった。
頭が痛い…。
