「今日で一週間……か」
靴を履きながら彼は呟いた。

「何が?」

「あっ……いや、何でもねぇよ」

ウソばっかり。隠したって分かるつーの!
美由紀はそういう時、絶対目をそらすんだもん。

別にいいけど。

「……急がないと遅刻しちゃう」
いつもの朝、変わらない日常。

「そうだな」


近くなったって思ったのに──遠くて。
手を延ばしたら届きそうで届かない。

これが私たちの二人の距離。


後悔してるの?


勢いに任せて付き合うって言っちゃったこと。
それとも……。


「あと三分!教室まで走るぞ!」

「えっ……ちょっと待ってよ~!」

この恋をゲームで終わらせたくない。

少しだけ、
そんなことを考えていた。