恐怖 DUSTER

千恵と里美は、麻美の言う事が理解できずにいた。


「それで、裕子の心は壊れるの・・・?」


「壊れるわ・・・間違いなくね」


自信ありげに言い切る麻美の表情は魔性に満ちている。


その表情に千恵と里美は恐ろしささえ感じていた。


「恵子の力によって、裕子の眠っている心がこちらの世界とつながったとしても、あの場所にいる裕子はそのメールを知ることができるの?」


里美は、麻美の言う事が信じられずにいた。


「裕子は、あの忌まわしい事故の時に父親の車に乗っていて、私たちと同じように事故に遭い、父親の起こした悲惨な事故現場を目撃した事により心を閉ざしてしまったのよ」


「心を閉ざしたまま、新しい心に入れ替わってしまったのよね?」


千恵が確認するように麻美に問いかける。


「そうよ。・・・しかもこともあろうに、あの暗闇の場所で眠り続ける事を選んでしまったから、私たちのように苦しむことも、悲しむことも一切しなかったのよ」


麻美の瞳には憎悪が満ちていた。


「・・・許せない。私たちは7年も、あの暗闇の場所で苦しみ悲しみ続けてきたというのに・・・」


「・・・でも、私も裕子と同じようにあの場所で眠り続けていた・・・」


里美が気まずそうに言った。


「なに言ってんの!里美は被害者なのよ。裕子は加害者の娘。立場が全然違うわ!」


千恵の言葉に、里美は救われるような気持ちになれた。


「千恵の言うとおりよ。里美は入れ替わった事によりあの忌まわしい事故の記憶を呼び起こしているんだから、もしも里美が眠り続けていた事に罪悪感を感じているなら、里美を入れ替わらせた私も罪人ということになるわ」


「それなら、私も麻美と同罪ね・・・」


千恵の言葉に、里美は慌てて否定する。


「千恵も麻美も悪くない、入れ替われたことにより私は救われたわ。あの事故のことも受け入れたし、これから自分が何をすればいいのかも理解できたから」