恐怖 DUSTER

麻美は、遠ざかっていく裕子の後姿を見つめていた。

その瞳は、憎悪に満ちている。

「裕子だけは、許さない・・・」

麻美の言葉に、千恵と里美も無言でうなづいた。


「私たちが苦しみ恐れ悲しんでいた、あの暗闇の場所にいながら何も感じずただ眠り続けているなんて・・・」 

履き捨てるように麻美が言う。

「絶対にあの場所から引きずり出してやる・・・」

千恵の声にも憎しみがこもっていた。

「でも・・・あの暗闇の場所から、前の裕子の心を引きずり出して本当に裕子は苦しむのかな?」

里美は不安そうに麻美に問いかける。


「大丈夫よ、裕子は友達思いの良い子だもの、前の裕子の心の記憶を呼び起こせは苦しみ続けていくわ。・・・そのために私たちは裕子と親友になったのだから・・・」


「・・・そのためだけにね・・・」


麻美の言葉は、まるで機械のように感情の無い口調であった。


「・・・でも、憎しみながら友達のままでいるのは難しいね・・・」


少しうんざりしたような表情になる里美。


「里美、ダメよ!これからも裕子とは、いつまでも親友でいるんだからね。大学の付属の中学に皆で入学したのもそのためなんだから」


言い含めるように麻美が里美に強い言葉で言った。


「う、うん・・・解ってる。・・・解っているから」


「しかし、よく全員が入学できたよね・・・」


麻美の言葉に畏縮する里美を助けるように、千恵は話題を変える。


「これもそれも、麻美の伯父さんが学校の理事長をしていたおかげだね♪」


「ちょっと!・・・別に裏口入学とかしてもらったわけじゃないのよ」


「へっ!・・・そうなの?」


「当たり前じゃない。そうでなかったら受験のためとして皆であんなに勉強会などする必要なかったでしょう?」


千恵の言葉に麻美は憤慨した。