恐怖 DUSTER

「麻美、どうしたの?」



裕子の問いかけにも麻美は答えなかった。弥生を見つめたまま無言でいる。




裕子は麻美の肩を揺り動かし再び聞いた。




「麻美!麻美ったら!どうしたの?なにかあるの?」




麻美は我に返り、信じられない事を言い出した。




「こ、この手・・・弥生の目を隠しているこの手、だんだんハッキリと見えてきている・・・」




「えっー!」




同時に叫び声をあげて驚く三人。




麻美の言葉に、恐怖しパニックになる弥生。




「いゃー!いゃー!いゃー!」




暴れだした弥生を、裕子と恵子は押さえつけ落ち着かそうとする。




恵子が弥生に向かって何度も言う。




「弥生、大丈夫、大丈夫だから。女の名前を言えば絶対に離れるから!」



裕子は、麻美に向かって怒鳴りつけた。




「麻美!あんたなに言ってんの! 弥生を、これ以上怖がらせてどうすんのよ!」




麻美は、恐怖の表情を裕子たちに向けて言った。





「ごめん!ごめんね!でも、でも本当に見えるの!さっきは、ぼんやりとしか見えなかった手が今はハッキリと見えてきているのよ!」




恐怖に怯えた麻美の表情を見て、裕子と恵子は麻美の言うことが事実なのだと実感した。