恐怖 DUSTER

「ほら!合格発表の日に、裕子の番号を見つけた麻美が一番喜んでいたでしょ?」


恵子にそう言われて、記憶を呼び起こしてみると、たしかにあの時の麻美は裕子本人よりも喜んでいた。


「それを見て、私はまた感動したのよ。でもね・・・その後に麻美に感謝のし続けている裕子に向かって言った麻美の言葉に、私はもっと感動したのよ・・・」


「麻美は、なんて言ったの・・・?」


「私に感謝なんてしないで、私はただ裕子と・・・みんなといつまでも一緒にいたいと思っているだけなんだから・・・あの子は、そう言ったのよ・・・」



恵子の口から語られる麻美の思いに弥生も感動した。



「それで私は安心したのよ。たとえ入れ替わっても人の本質は変わらないのだと・・・」


恵子の言葉は、我が子を愛しげに語る母の言葉のようであった。



「・・・あの子も、お菊ちゃんのように優しい子なのよ・・・」



恵子の口から出るお菊という言葉に、弥生の胸は痛んだ。



・・・違うよ、麻美はお菊ちゃんの子じゃないよ・・・



・・・麻美も私達と同じく恵子の子孫・・・



・・・恵子の子だよ・・・



弥生は、そう言葉にしたい思いを心の奥に留めた。





言葉にすれば、恵子を傷つけるだけだと解っているから・・・


「ねぇ、恵子の誕生日まで、みんなで思い出たくさん作ろうね♪」


恵子は屈託の無い笑顔を弥生に向けながら楽しげに答える。


「そうだね♪とりあえず今日は弥生の誕生日を、お祝いしないとね♪」


「ちょっと!とりあえずは、無いでしょう!」


「あっ・・・それもそうか?」

「もう!」


二人の笑い声が重なり合うようにその場にこだましていった。